なべ頭とトラス頭の使い分け
次に、頭があるねじの使い分けについて。
代表的なものとして、十字穴付の小ねじと、六角穴付のボルトを取り上げます。
まずは、十字穴付小ねじから。
このカテゴリーにおいてイケキンでもっとも出荷量の多い「なべ頭」を基準に考えてみましょう。
なべ頭より頭部の直径が大きいトラス頭を使うことで、ねじと相手材との接地面である座面が安定したり、相手材に沈み込む(陥没する)ことが緩和したりします。
頭部の高さも少し低いので、デザイン的にも良く、すっきりとした外観にもなると思います。
また、ナットを使う締結でうっかり相手材の下穴径を大きく開けてしまった時にも、やり直しせずに済むかもしれませんし、長穴に使用する時にも大きな座金(平座金や角座金など)使わなくてもいいかもしれません。
そんなこと言われなくてもわかってるよ、なんて声も聞こえてきそうですね。
たまたま基礎的、初歩的な使い分けの例(もともとこのブログはそういった観点のものですが)を挙げましたが、加工や組み立て、それ以前に構造設計において問題点が見つかった時に、それぞれをやり直ししたり、部品を追加したりせずに、ねじだけ(ここの例では頭部形状)を変更することでリカバー出来ないか、とワンクッション置くことが出来ないか、という問題提起もしたいわけです。
もしかするとこれも、言われなくてもわかってるよ、なんて声も聞こえそうですが。
今回は以上です。
ところで、既存の製品の設計データを他の製品にも利用する、いわゆる流用設計については、ねじ選定においても利用することがあるという話を聞いたことがあります。
もちろん、製品開発の期間を少しでも短縮する上においては有効な手段ですが、あるベテランの設計の方の話では、安易に流用設計せずに、ワンクッション置いて、何ならゼロベースに近いぐらいで考えるようにと若い設計者を指導している、とおっしゃっていました。
今回のブログを書きながらふと思い出しました。
次回もお楽しみに!