バインド頭と皿頭の使い分け
頭部の大きさで言うと、なべ頭とトラス頭のあいだ(ちょうど中間ではありません)の大きさのバインド頭については、トラス頭では頭部が大きすぎて使えない、かといって、なべ頭では相手材に陥没するかもしれない、というときに使えます。
また、ネジの径によって十字穴の深さがなべ頭より僅かに深いので、理屈から言うと十字穴が破損しにくい、とも言えます。
次に、皿頭ですが、これは何といっても締め付けた後に相手材から頭部が飛び出ない、フラットになるというのが特徴です。
それ以上に特徴的なのは、呼び長さの表し方です。
なべ頭やトラス頭の呼び長さはネジの長さ(首下長さ)のみ、頭部の高さを含まない長さですが、皿頭の場合、頭部高さも含めたもの、つまりホントの意味で全長が呼び長さになります。
そんなこと改めて言われなくても知ってるよ、なんて声が聞こえてきそうですね。
もちろん皿頭を使うかぎり最低限知っていなくてはならない知識ですが、過去にこのことを見落として(もしくは知らなかったのかもしれませんが)重大事故になった事例も報告されています。
つまり、呼び長さに頭部の高さを考慮しなかったために、少し長いネジを使ってしまって、キチンと締まらなかった、そのためネジがゆるんで部品が脱落してしまった、という事故でした。
皿頭の呼びサイズについては、この記事を読んで下さる皆さまはご存じだと思いますが、こういった事故の例を聞くと、ネジを使う人すべてが皿頭のサイズの呼び方を知っていることを願うばかりです。
今回は以上です。
ところで、ネジってどうやって作ってるの?と時々聞かれることがあります。
そういうことを聞いて来られる方の多くが、らせん状に削っている、というイメージを持っておられるようです。
もちろんそういう作り方もありますが、世の中に流通しているネジの大半は「転造(てんぞう)」という作り方です。
金型で材料に圧力を加えて、盛り上がらせたり、へこませたりして(これを塑性“そせい”加工といいます)ネジ山を形作っていきます。
こういったことは、イケキンのなるほど!ねじのおもしろ講座の基礎編でも詳しくお話ししていますので、ご興味があればご参加ください。
次回もお楽しみに!