六角穴付きボルトの使い分け
六角穴があるボルトについては、いわゆる普通の六角穴付ボルトを基準に考えていきます。
わずかではありますが、頭部の直径が大きい六角穴付ボタンボルトを使うことで、ねじと相手材との接地面である座面が安定したり、相手材に沈み込む(陥没する)ことを緩和させたりします。
ただ、ボタンボルトはそれ以上に締結部の見える部分をすっきりとした外観にするために使用する場合が多いようです。
次に、六角穴付皿ボルトについては、十字穴付皿小ねじと同様に、締め付けた後に相手材から頭部が飛び出ない、フラットになるというのが特徴です。
もちろん皿頭なので、呼び長さも頭部高さも含めたもの、全長が呼び長さになるということも同じです。
また、JIS規格外にはなりますが、頭部高さが低い「低頭六角穴付ボルト」や、さらに低い「極低頭六角穴付ボルト」、もっと低い「超低頭六角穴付ボルト」も近年かなり販売数が増えてきました。
これらを使用する目的としては、製品を小型化したい、軽量化したい、という背景がありますが、中には「計算まちがってしまって、普通のネジだったら入るスペースがない」という理由で使わざるを得ない、ということも過去にありました。
何をまちがったのか、多くの場合、許容差(公差)の誤認というものなのですが。
今回は以上です。
ところで、このコラムの内容についてですが、特に真新しい製品や締結方法について書いているわけではない、ということにお気付きの方も多いと思います。
言ってみれば、ネジに関する古典的な内容だと思います。
古典というと、私が好きなのは「老子(ろうし)」という紀元前に存在していたとされる中国の哲学者の思想ですが、有史以来無数の思想が生まれたにも関わらず、2千年以上も前の思想が今も生き残っているということに途轍もない強さや生命力を感じます。
もちろん思想だけでなく、芸能や音楽、宗教に至るまで何百年、何千年以上も前のものが今なお生き残っているものは、生き残るのに相応しい強さがあるのだと思います。
その強さに敬意を表しつつ、このコラムのようなネジの古典も生き残っていくことを願うばかりです。
次回もお楽しみに!