マルテンサイト系ステンレス鋼
13クロム系のマルテンサイト系ステンレス鋼は、クロムの含有量がフェライト系よりもさらに少ないので耐食性は下がりますが、焼き入れ、つまり熱処理によって硬化するのがひとつの特徴です。
では、ステンレス鋼を利用する場合において硬化させる必要があるネジの種類は何かというと、代表的なものはドリルねじです。
ねじの強化書Vol.5でも書いたように、ドリルねじは先端にあるドリルで下穴をあける必要があるため硬くしなければならないからです。
なので、ステンレス鋼のドリルねじの多くがマルテンサイト系ステンレス鋼で、その中でもSUS410を利用する場合がほとんどです。
ついでにいうと、耐食性の低いマルテンサイト系に熱処理をすると不動態皮膜が出来にくくなります。
ねじの強化書Vol.22でも書いたように、ステンレス鋼がさびにくいのは表面が不働態化しているからなのですが、熱処理によって不動態皮膜が出来にくいということは、さびやすくなるということになります。
耐食性を低下させないためには
では、熱処理をしたマルテンサイト系のネジの耐食性を低下させないためにどうするかというと、ムリヤリ不動態皮膜をつくってあげます。
それを不動態化処理とかパシペート処理といいます。
どういう処理かというと、硝酸が入った液の中に入れて、表面を酸化させて新しく不動態皮膜をつくるというものです。
熱処理とか表面処理とかの話になると、材料の話からそれるような印象を持たれるかもしれませんが、それぞれ関連性を持っているので、あえて書かせてもらいました。
今回は以上です。
次回もお楽しみに!