前回のねじの強化書Vol.28では、ねじのグリップ長さが長い場合は焼き付きやすくなる、というお話しでした。
では、その他にどのような締結が焼き付きやすいのかをみていきましょう。
焼き付きやすい締結②
②ねじのピッチが小さい場合
並目ねじと細目ねじではもちろんねじのピッチは細目ねじのほうが小さくなり、ピッチが小さくなると摩擦係数が高くなるため、熱の影響を受けやすく、その結果焼き付きやすくなります。
③締め付け速度が速い場合
手回しの工具に対して、回転数の高い電動工具では、電動工具のほうが摩擦熱は発生しやすいため、焼き付きやすくなります。
④ねじにキズがついていたり、変形したりしている
ねじが作られてから使うまでのあいだに、ねじ同士が接触した際にキズが付いたり、変形したりすることがあります。
キズがついた箇所や変形した箇所は摩擦係数が高くなるので、焼き付きやすくなります。
以上、このような場合に焼き付きやすくなるのですが、では焼き付きにくくするにはどうすればいいのか。
焼き付きにくくするには
簡単に言えばこれらの逆のことをすればいいわけです。
細目ねじを使っていたら並目ねじに変更するとか、電動工具の回転数を落とすとか、ねじ同士が接触しないように個包装にする、などですが、今度はそれらによる弊害なんかも考慮する必要があります。
では、どのような弊害があるかみていきましょう。
細目ねじを使わずに並目ねじを使うと、めねじ側も並目に変更する必要がありますし、並目にするとリード角が大きくなるため、それによってねじはゆるみやすくなります。
また、締め付け速度を遅くするとそのぶん生産性が下がりますし、ねじを個包装にすると価格にシワ寄せがいきますし、なかなか難しいものです。
では、他に焼き付き対策となるアプローチはないのでしょうか。
今回は以上です。
次回もお楽しみに!