ねじの焼き付きを抑制するためにボルトなどの表面の性質を高める処理は、前回のねじの強化書Vol.30でご紹介した潤滑剤を塗布する方法以外に熱を利用した表面処理や物理的な加工も有効です。
では、その他の方法はどんなものがあるのか見ていきましょう。
窒化(ちっか)とは
窒素を利用して表面を硬くする窒化(ちっか)は、鋼の表面に窒素(N)を侵入させて、鉄(Fe)との化合物である窒化鉄(FeN)を作ります。
この窒化鉄は窒化の種類にもよるもののかなりの硬さの加工物で、摩耗に強く、摺動性も高くなることから、窒化はねじの焼き付きを抑制する効果が期待できます。
窒化にはガス窒化炉を利用して行なうガス窒化と、原材料が塩化カリウムなどの薬液を加熱したソルトバスという槽を利用して行なう塩浴軟窒化があります。
では、窒化はステンレス鋼に対してはどうかというと、ステンレス鋼に向く窒化も開発されています。
ショットピーニングとは
鋼の表面に細かい鋼球を衝突させて表面を硬化させる方法で、ショットブラストともいいます。
ただ、ショットピーニングは、表面に凹凸が生じるため、表面を硬化させることで焼き付きを抑制するというより、オイルやグリースなどの液体潤滑剤がショットピーニングで生じた凹部に溜まることで焼き付きにくい状態を長持ちさせるという理由で利用されます。
何回かに分けてねじの焼き付き対策をご紹介してきましたが、それでも焼き付くことを完全に防ぐことは難しいです。
では、もしもねじが焼き付いてしまったらどうすればいいのでしょうか。
今回は以上です。
次回もお楽しみに!