焼入れ
一般的に流通している中程度以上の強度区分において施される全体熱処理の一種です。
強度区分とは、ねじの強さを数値であらわすもので、ここでいう一般的に流通している中程度の強度区分とはボルト等のおねじ部品においては主に8.8のことをいいます。
強度区分については、何回かあとのねじの強化書で取り上げる予定ですので、しばしお待ちください。
さて、焼入れは鋼を硬くするのが主な目的で、次回に取り上げる焼戻しとセットで施されることがほとんどです。
鋼が硬くなるということは、受ける衝撃にも強くなったり、何かと擦れ合うことによって起こる摩耗にも強くなったりします。
では、焼入れはどのように施すのか、熱処理の資料や文献などを見たりすると、「鋼を何百度まで熱して、オーステナイト組織にしたあと急冷して・・・、」というようにさすがに詳しく書いてあります。
そういったことは世の中にたくさんある詳しい資料や文献に泣き泣き(?)譲るとして、ここでは焼入れする際の温度と、熱くなった鋼を冷まし方だけに留めておきます。
まず、焼入れする際の温度としては、「鋼のAc1変態点より上」です。
変態点とは鋼を加熱していくと組織に大きな変化が現れる温度のことで、Ac1とは鋼がオーステナイトという組織に変化する温度です。
Ac1変態点は例えばS45Cなら727℃で、鋼の材質によってそれぞれ変態点は異なります。
次に冷まし方は「急冷」です。
ここでいう急冷とは、鋼を水や油に入れて一気に冷ますという方法です。
ということで、焼入れをごく簡単にまとめると、
①硬くすること
②強度区分8.8以上のボルトに施す
③Ac1変態点以上にまで熱する
④熱した後は急冷する
⑤焼戻しとセットで行なうことがほとんど
となります。
とりあえずこれらの5つが焼入れのポイントになります。
今回は以上です。次回もお楽しみに!