若い頃いわくつき物件に3年程住んでた販促チームの嶋です。
そのマンションは以前勤めていた会社が管理していた物件で、駅から徒歩5分の好立地ですが家賃は破格の安さ。
社内でも『出るぞ!』と有名でしたが、殺人や強盗のあった事故物件ではありません。
幽霊なんか見たことないし、信じてもいない、ということで家賃の安さに飛びつき入居しました。
火の無い所に煙は立たぬ、とはよく言ったもので、入居してすぐ色々起こります。
そのなかでも、よく覚えてるのが大沢さんとの生活です。
入居してしばらくした頃に大沢さんは現れました。
夜、ベッドで寝ていると誰かが枕元に立っている気配がするのです。
一人暮らしだったので、何や何や?と目を開けると、スーツ姿の男が立っていました。
体はわりとハッキリ見えますが、顔だけがよく見えません。
私はピンときました。おお、これが!と。
毎晩来るのでもう同居人として扱おうと思い、名前を付けることにしました。
顔は見えませんが、スタイルはめっっっちゃ良いので当時好きだった俳優から名前をとって『大沢さん』と。
大沢さんほんとに居たんですよ。スーツを着て革靴を履いて。
土足なのは嫌でしたが、寝る時に覗き込んでくる以外に害はないので問題なく同居生活をおくっていました。
大沢さんは寡黙な男でしたが、すぐに少しだけ賑やかになります。
隣の部屋からカリカリと、たまに壁をひっかくような音が鳴り始めたのです。
駅前の物件ということもあり、音はそこまで気にしていなかったのですが
不定期に鳴るカリカリ音について、物件を管理している部署に相談すると
私の両隣は空き部屋なのでネズミかもしれない!ということで業者を入れてくれました。
しかし、虫や生き物は見つからず、原因は分からないままこのカリカリ音も大沢さんと共に長い付き合いとなりました。
退去するまでに大沢さんタイプの同居人はあと一人増えるのですが、それはさておき
そんな物件に住んでたのに、ホラー映画は苦手なんですよね。なんでやろ。