メニュー閉じる
お問い合わせ
セミナー / 研修 資料ダウンロード
ホームブログねじの強化書(Vol.39) なんで表面だけ硬くするねん?

ブログ

ねじの強化書(Vol.39) なんで表面だけ硬くするねん?

2022.11.07
ねじの強化書

Vol.34でお話ししたように、ねじに施す熱処理は、全体熱処理と表面熱処理の2種類があります。
Vol.35Vol.36Vol.37Vol.38までは全体熱処理についてお話ししましたが、次に表面熱処理、文字通り表面を硬くする熱処理についてお話しします。

表面熱処理は大きく分けて、浸炭焼入れや窒化のように硬化に至る元素を加熱することによって表面から染み込ませる方法と、高周波焼入れのように硬化させることが出来る素材の表面だけを加熱するというふたつの方法があります。

【浸炭焼入れ】

鋼を焼入れによって硬化させるには炭素を多く含有させる必要があります。
言い換えると、仮に炭素の含有量が少ない鋼でもあとから炭素を足すことが出来れば、鋼は硬くなります。
浸炭焼入れは文字通り「焼入れによって炭素を染み込ませて」鋼を硬くすることです。
といっても、全体熱処理のように鋼全体が硬くなるかというとそうではなく、この方法は表面のみ硬くなります。
では、炭素をどのように染み込ませるかというと、多くの場合ガスを利用する方法で、一酸化炭素ガスを使って高温で加熱すると、鋼の表面に炭素が入り込んで硬くなります。
ねじにおいては、鋼製のタッピンねじやドリルねじには浸炭焼入れが施されています。
これはどういった理由かというと、タッピンねじの場合はメネジの無い下穴に無理やりねじ込んでメネジを作りますし、ドリルねじの場合は下穴もあいていないところに穴をあけて無理やりねじ込んでメネジを作るので、ある程度の硬さが必要になる、ということです。
ならば、全体熱処理でもいいのではないか、と考えられなくもないのですが、ボルトや小ねじと比べて、タッピンねじやドリルねじの場合は、下穴をあけたりメネジを作ったりするため、その際に大きなねじり応力、つまりねじれる力が加わるので場合によってはねじがちぎれてしまいます。
そうならないためにはねじの内部に靭性(じんせい)を持たせる、つまり粘り強さを持たせる必要があります。
これらを踏まえて考えると、浸炭焼入れはねじの種類によって最適な熱処理になります。
また、タッピンねじやドリルねじのような使い方をしない精密機器用小ねじ、いわゆる「0番小ねじ」にも浸炭焼入れを施すことが多いのですが、おそらく0番小ねじはM1.0やM1.4などかなり小さなサイズのねじになるため、もともとの強度自体があまり高くなく、浸炭焼入れで補完、という意味合いではないかと「類推」したりしています。

ところで・・・。
活字を読むスピードは亀の歩みのごとく遅いのですが、小説や一般書、専門書など仕事に活かせる書籍への興味は尽きません。
もちろん漫画への興味も持っていて、他人に言わせるとそれが意外に映ることもあるようです。
古くはスラムダンクや沈黙の艦隊、近年ではキングダムやワンピースなど、仕事にも活かせる漫画は今も昔も少なからず存在すると思います。
ごく少数ながら、筆者自身を「類推」していただけるのはひじょうに光栄ではあるのですが、小説や専門書、学術書に興味のある人は漫画に興味は無いだろうという「類推」よりも、小説や専門書、学術書に興味のある人は漫画にも興味があるかもしれないという「類推」のほうが前向きな印象を感じますが、いかがでしょうか。
仕事に活かせるおススメの漫画があれば是非教えてください。

今回は以上です。
次回もお楽しみに!

関連コンテンツ

ねじの強化書
2022.09.20
ねじの強化書(Vol.38) 焼なましっていつすんねん?
  • #ねじの強科書
ねじの強化書
2022.09.07
ねじの強化書(Vol.37) 焼ならしってねじにもすることあるん?
  • #ねじの強科書
ねじ締結のお悩みは
イケキンが解決します!
ねじ・締結部品に関するご相談・ご依頼は、
お気軽にお問い合わせください。