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ねじの強化書(Vol.46) ケタが増えると数値は分かりにくいねん!

2023.06.28
ねじの強化書

ねじの強化書Vol.45でもお話ししたように、鋼製おねじの強度区分は、ふたつの要素が組み合わさって成り立っている数字ですが、それぞれの数字の意味を【10.9】を例にとってみてみます。
最初の【10】は引張強さを表わし、この場合は1,000MPa(メガパスカル)、もしくは、1,000 N/㎟(ニュートンパー平方ミリメートル)の引張強さを持っているということです。
引張強さとは、ねじの強化書Vol.44でもお話ししたように、ボルトや小ねじを軸方向に引張荷重を加えて、破断するまでの最大応力のことで、破断した荷重をボルトの断面積で割った数値で表わします。
では、1,000MPaとか1,000N/㎟とはどのような応力なのかというと、面積が1㎡ものに1,000MPa(1Mは100万なので、1,000MPaは10億パスカル)の応力が加わっても破断しない、もしくは面積が1㎟のものに1,000Nの応力が加わっても破断しない、というわけです。
同じく、ねじの強化書Vol.44でもお話ししたように、1Nはおよそ0.1kgf(およそ0.1キロ)なので、この場合の1,000Nはおよそ100キロです。
パスカルで表わすと数字のケタが多くなるのですが、MPaとN/㎟は同じ応力なので、1,000MPaもキロに換算すると同じくおよそ100キロです。
また、他の強度区分では、12.9なら引張強さは1,200MPa(1,200N/㎟)、8.8なら同じく800MPa(800N/㎟)、4.8なら同じく400MPa(400N/㎟)となります。
そして、1,000MPaや1,000N/㎟は100分の1の数値で表すことになっているので、この場合は【10】という表記になるわけです。

次の【9】は0.2%耐力、もしくは降伏点と引張強さの比で、強度区分10.9の場合、0.2%耐力は900 MPa、もしくは、900 N/㎟で、これと引張強さとの比なので、900MPa÷1,000MPa=0.9、もしくは、900N/㎟÷1,000N/㎟=0.9で、その10倍の数値で表わすことになっているため、この場合は【9】という表記になるわけです。
また、他の強度区分では、12.9なら1,080 N/㎟÷1,200 N/㎟=0.9、8.8なら640 N/㎟÷800 N/㎟=0.8、4.8なら320N/㎟÷400 N/㎟=0.8となります。
お気づきのように、10.9と12.9は0.9なので90%、8.8と4.8は0.8なので80%というように比率は2種類あります。
また、降伏点がはっきりと分かる強度区分4.8については、降伏点と引張強さの比となり、8.8や10.9、12.9については前述の通り0.2%耐力と引張強さの比で表わします。
降伏点や0.2%耐力については、同じく、ねじの強化書Vol.44でもお話ししたので、併せてお読みいただければと思います。

ところで、K(キロ)やM(メガ)は、いわゆる補助単位と言われるものですが、数値はケタが増えるとそのままでは分かりにくくなる場合があるので、補助単位を使って数値を表すことが多くなります。
例えば、大きな数値では、K(キロ、1,000、10³)やM(メガ、1,000,000、10⁶)、G(ギガ、1,000,000,000、10⁹)などで、小さな数値ではm(ミリ、0.001、10⁻³)やµ(マイクロ、0.000001、10⁻⁶)、n(ナノ、0.000000001、10⁻⁹)などです。
このように「何個ゼロあるねん!」というときに補助単位を使うと分かりやすくなります。
補助単位は日常生活でもよく見聞きしますよね。
これらの補助単位のうち、ねじの関連で使うのは、大きな数値ではKとM、小さな数値ではmとµです。
KやMは今回のような応力、つまり、KN(キロニュートン)やMpa(メガパスカル)などで使い、mやµは長さや直径、つまりmm(ミリメートル)やµm(マイクロメートル、ミクロン)などで使います。

今回は以上です。
次回もお楽しみに!

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