ねじの強化書Vol.43でもお話ししたように、ステンレス鋼製のボルトや小ねじなどの強度区分は【A2-50】や【A4-70】というように、ハイフンで区切りをつけた英数字の組み合わせで表わしますが、それぞれ何を意味するのか、【A2-50】を例にとってみます。
まず、最初のA2は鋼種区分を表わし、そのうち【A】はオーステナイト系ステンレスで、【2】はSUS304やSUSXM7といった鋼種を指します。
鋼種区分で使用する英字は、オーステナイト系ステンレスを表わす【A】の他に、フェライト系ステンレスを表わす【F】、マルテンサイト系ステンレスを表わす【C】があります。
次に、鋼種区分で使用する数字は【1】から【5】まであり、前述のように【2】はSUS304やSUSXM7で、その他には【4】であればSUS316やSUS316Lのこと指します。
鋼種区分で使用する英字が3種類、数字が5種類ということは、その組み合わせとしては15種類出来ますが、すべてJIS規格で制定されているかというと、そうではなく、主には、【A1】~【A5】、【C1】、【C3】、【C5】、【F1】の9種類です。
では、これらの中で一般流通するボルトと照らし合わせると、実際に利用されるのは【A2】と【A4】ぐらいです。
というのも、一般的に流通しているボルト類となると、オーステナイト系ステンレスがかなりの割合を占め、素材の記号で言うと、大方がSUS304やSUSXM7、SUS316、SUS316Lなので、不文律的にというか【A2】と【A4】のみになります。
「ウチは他の鋼種区分のボルトを使っている!ウチは少数派だというのか!蔑ろにするのか!」といったご意見も出そうですが、そういうつもりはありませんので念のため。
次の【50】は引張強さを表わしています。
この場合は500MPa(メガパスカル)、もしくは、500 N/㎟(ニュートンパー平方ミリメートル)の引張強さを持っているということです。
鋼製おねじの強度区分の場合、後にくる数字は0.2%耐力、もしくは降伏点と引張強さの比でしたが、ステンレス鋼製おねじの場合、強度区分にこの数字は表記されません。
では、ステンレス鋼製おねじに0.2%耐力、もしくは降伏点の規定が無いのかというとそうではなく、【50】なら210 MPa、【70】なら450 MPaというようになっています。
なので、規定はあるけど表記はしない、ということです。
今回は以上です。
次回もお楽しみに!