表面処理とは、文字通り材料の表面に何らかの加工を施して、特性を変えたり、新たな機能を加えることですが、広義で言うと、熱を利用して表面を硬くしたりする熱処理や薬品を利用して表面を溶解させるエッチング加工、砥石などを利用して表面を磨く研磨も表面処理の一種です。
ただ、ねじの業界で表面処理というと、主には薬液によるめっきや塗料による塗装、薬液との化学反応による化成処理を指すことがほとんどです。
表面処理をすることによって、表面を硬くする、耐食性を向上させる、外観を良くするなど、特性を変えたり新たな機能を加えたりするというのがねじに表面処理をする目的です。
まずは、ねじに施す主な表面処理の方法をご紹介します。
【電気めっき】
めっきをしたい金属にマイナス極、めっきとしてつけたい金属にプラス極の直流電流を通電させてめっきをする方法です。
ねじに施すものとしてはもっとも多く利用される表面処理で、代表的なものとしては、電気亜鉛めっきがあります。
【化学めっき】
めっきとしてつけたい金属を含む水溶液の中で、電流を使わないで、化学反応によってめっきをする方法です。
代表的なものとしては、無電解ニッケルめっきがあります。
【化成処理】
化学薬品によって表面処理をしたい金属の表面に被膜を作る方法です。
代表的なものとしては、クロメート処理や黒染めがあります。
【溶融めっき】
溶融した金属の中にめっきをしたい金属を浸けて表面に被膜を作る方法です。
代表的なものとしては、溶融亜鉛めっきがあります。
【塗装・コーティング】
表面処理をしたい金属などの表面に合成樹脂や塗料を塗ったり、吹き付けたりして被膜を作る方法です。
今回は以上です。
ところでめっきの語源を紐解いてみると以下のような経緯で名称の変化があったようです。
①塗金(ときん) ⇒ ②滅金(めっきん) ⇒ ③鍍金(めっき) ⇒ ④めっき
①鍍金(ときん)・・・水銀に金を混ぜて溶かし込み、それを表面に塗った後、熱によって水銀を蒸発させます。
②滅金(めっきん)・・・水銀に金を溶かし込むと金色が無くなり、水銀の銀色になることから「金が滅する」という意味になります。
③鍍金(めっき)・・・「滅金(めつきん)」が「鍍金(めっき)」へと変化しました。
④めっき・・・「鍍金」の「鍍」の漢字が常用漢字には無いことから、新聞などの表記では「めっき」が使われるようになりました。
読みやすさなどから「メッキ」が使われることも多いですが、JIS規格では「めっき」が正式な表記方法になっています。
次回もお楽しみに!