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ねじの強化書(最終回Vol.56) 異なる材質がくっついたらサビやすくなるねん!

2024.05.21
ねじの強化書

金属が腐食環境下に置かれたときに材質の異なるもの同士が接触した際、片方の腐食が促進されることがあります。
これを『異種金属接触腐食(電食、ガルバニック腐食)』といいます。
なぜこのような現象が起こるかというと、ねじの強化書Vol.52でお話ししたイオン化傾向が大きく影響してくるからです。
つまり、イオン化傾向の大きい金属(卑な金属)とイオン化傾向の小さい金属(貴な金属)が接触し、腐食環境下に置かれた状態になると、イオン化傾向の大きい金属(卑な金属)が腐食します。
例えば、アルミ合金製の母材にステンレス鋼製のボルトを使って締結し、海水が付着するなどの腐食環境下に置かれると、アルミ合金製の母材の腐食が促進されます。
これは、ステンレス鋼よりアルミ合金のほうがイオン化傾向の大きい金属だからです。

異種金属接触腐食を防ぐには、アルミ合金の母材にはアルミ合金のボルトというように材質を同じにするのが最も良い方法です。
ただ、ステンレス鋼製のボルトと比較すると、強度面で劣ったり、価格面で高価になったりするので、実際には難しいと思います。
ねじサイズを大きくしてもいいとか、ボルトの価格に糸目はつけない、というのなら話は別ですが。
となると、次に効果があるのは、異種金属同士を接触させないこと、になります。
つまり、母材とボルト座面の間に樹脂など絶縁性のある部品を入れる、樹脂などをコーティングする、といった方法です。
他にも、亜鉛めっきのように母材の材質よりイオン化傾向の大きい元素の表面処理をボルトに施す、といった方法があります。
ただ、その場合はもちろん亜鉛の白錆の影響を考慮しなければならないのは言うまでもありませんが。

今回は以上です。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

あとがき

ねじの強化書は今回をもって終了とさせていただきます。
4年余りにわたり、お読みいただきありがとうございました。
ねじは、さまざまな機械や機器類、構造物等に使用される部品同士の締結・結合にもっとも多く利用されており、その性質から数多くある機械要素部品の中においても『最強の機械要素部品』といえます。
ねじの強化書を通じて、ねじを選定するにはいろいろな要素を考慮する必要があることを改めて認識していただけたかと思います。
今後、貴社の製品価値をより高めるきっかけにしていただけたら幸いです。

第3営業部 石戸

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