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ホーム課題解決の事例集高耐食性表面処理技術≪ディスゴ処理≫による錆防止
課題解決の事例集

高耐食性表面処理技術≪ディスゴ処理≫による錆防止

2023.02.06
お客様の産業建築メーカー
部署名設計

解決策のご提案

ディスゴ処理(※1)による錆対策のご提案で
●部品の寿命を延ばし、構造物崩壊の危険を回避

※1 ディスゴ処理…高耐食性表面処理技術の一種

相談までの経緯

課題の概要

海の桟橋の固定にステンレスあと施工アンカー(※2)を使用しているが、引き潮時に錆が発生していた。
あと施工アンカーが折損してしまうと桟橋の崩壊に繋がる危険性があるので何とかしたい。

※2 あと施工アンカー…木材や鋼材といった構造部材、もしくは設備機器などを固定するために、コンクリートに埋め込んで使用するボルトのこと。

問題の原因

あと施工アンカー使用箇所が海水に沈んでいる時は問題がないが、引き潮時に海中に浮遊している異物がアンカーに付着して空気を遮断し、ステンレスの特性である不働態化被膜(※3)の腐食防止が出来なくなっている。

※3 不働態化被膜…表面の金属分が酸素と結合することによってできる緻密な皮膜のことで、腐食(錆び)からの保護作用がある。

当時のお客様の対策

あと施工アンカーは母材に打ち込みしているため交換ができない。
そのためステンレスを使用していたが、錆が酷く困っていたので高耐食仕様のものが無いか探していたが、良い製品が分からず困っていた。

イケキンが提案したこと

課題解決の要件

●異物が付着しても錆防止効果が失われないこと

解決策のご提案 ディスゴ処理

まず、前提として絶対に錆びさせない方法が存在しないことをご説明。
その上でステンレスの生地の状態よりも耐食性が強く、部品の寿命を延ばすことができる高耐食性表面処理技術「ディスゴ処理」をあと施工アンカーに施すことをご提案。

 

 

ディスゴ処理は素地を錆びさせないために開発された塗装系表面処理。
ジオメットなどの他の塗装系表面処理ではベースコートのみの2コート(2度塗り)が標準だが、ディスゴ処理はベースコート2回+トップコート1回の3コートが標準。
トップコートのバリア効果と、ベースコートに含まれる亜鉛が素地の代わりに陽極となって防錆する犠牲防食作用で、高耐食性能を発揮する。

効果を検証するため、中性塩水噴霧試験(※4)を2016時間実施。

 

試験の結果、ステンレス素地では168時間経過時点で白色生成物が発生し、768時間で赤錆が発生。
対してステンレス+ディスゴ処理では最後まで赤錆が発生しませんでした。

 

※4…中性塩水噴霧試験
塩害による腐食の評価に広く用いられる代表的な腐食促進方法。
霧状の塩水を、試料に対して均一に噴霧し続け、一定時間(1000時間が目安)経過後に試料に付着した塩を水で洗い流し、腐食具合を確認。
主に塗料や塗膜、めっき、防錆剤、金属からプラスチック材料が対象となり、試験後は外観観察で腐食の判定を行う。

 

▼試験後の状態比較写真
SUS304素地

SUS304+ディスゴ

対策の成果・結果

提案結果

試験の結果、現状(ステンレスの生地)よりも効果が見込めると判断。
採用され、以後すべてのあと施工アンカーにディスゴ処理を行うことになった。

ユーザーメリット

●錆対策が強化され、桟橋の崩壊の可能性を低くすることができた。
お客様の声
沿岸部の工事に使用するアンカー類とボルトにはディスゴ処理を施すことを標準化し、トラブルの頻度を削減。
また、アンカーと同時にボルトにもディスゴ処理を施すことによりボルトに耐食性もアップすることができた。
その後のお話
ディスゴ処理で耐食性をアップ出来たが、現状よりも過酷な条件下での使用の可能性があったため、更なる防錆力向上を求め、ご相談をいただきました。
ステンレスの種類をSUS304からSUS316に変更することで素地の高耐食性能が上がり、更なる効果が見込めると考え試験をしたところ、仮説通りの結果となり採用していただきました。
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