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ホーム課題解決の事例集タイヤホイール固定用の植込みボルト ゆるみの原因調査と恒久的対策
課題解決の事例集

タイヤホイール固定用の植込みボルト ゆるみの原因調査と恒久的対策

2023.07.18
お客様の産業産業車両メーカー
部署名品質管理・設計

解決策のご提案

原因の仮設立てと画像測定機による寸法検査で
●ゆるみの原因の特定
●恒久的対策のご提案

相談までの経緯

課題の概要

フォークリフトのタイヤホイールの固定に使っている植込みボルトが、お客様のところに納品した後に脱落してしまう事象が起きている。
稼働中に脱落してしまうと大きな事故に繋がりかねないので早急に解決しなければならない。

問題の原因

単純にゆるみが生じているのだと勘違いされていたため、ゆるみ対策をすれば良いと考えられていた。
しかしゆるみ対策をしても一向に解決せず、原因が分からなくて困っていた。

当時のお客様の対策

単純に稼働させたときの振動によるゆるみが生じているのだと思い、締め付けトルクを確認したが問題はなかった。
ゆるみ止め接着剤を使用してみたり、ねじピッチを細目にするなどのゆるみ対策もしてみたが根本の原因解明には至らなかった。

イケキンが提案したこと

課題解決の要件

ゆるみ以外の植込みボルトが脱落する原因を特定すること

解決策のご提案 画像測定機によるねじ部の寸法測定と、植込みボルトに関する知識の共有

相談を受け、様々なゆるみ対策をしているにもかかわらず解決しないことから、単なるゆるみが原因でないのではないかと想定。

図面を見直してみると公差に関する指示が明記されていないことに気が付き、お客様の設計担当の方に適用している公差を確認。
その後工場で製作時に適用していた公差も確認。
お客様の設計担当者は植込みボルトの公差を適用していたが、サプライヤー側は両ねじボルトの公差を適用していたことが判明。
通常、植込みボルトはナット側と植込み側で公差が異なるが、両ねじボルトはナット側と植込み側の公差が同じである。(※1)
サプライヤー側では両ねじボルトと勘違いをしてしまっていた。
そのため、設計時に適用されているものではない公差で製作された製品が納品され、使用していたことが脱落の原因ではないかと予想。

在庫に残っていた現物を画像測定機で寸法測定すると、確かに両ねじボルトの公差範囲内には入っているが、植込みボルトの公差範囲からは外れていることが判明。

※1…植込みボルトと両ねじボルト(スタットボルト)は同一のものだと思われているケースもある。
2つの違いの詳細はこちら

対策の成果・結果

提案結果

直ちにお客様へ植込みボルトと両ねじボルトの違いをご説明し、イケキンの協力工場で正しい公差の「植込みボルト」を製作して納品。
図面へ公差を明記し、設計・品質管理・調達・サプライヤー間で情報を正確に伝達できるようご提案。(恒久的対策)

ユーザーメリット

原因が特定でき、恒久的対策をとることができた。
お客様の声
ねじが脱落する=ゆるみが原因と思い込んでいたので誰も他の原因を疑うことをしない中、イケキンだけがいろんな可能性を考えて対応してくれた。
その後のお話
今回の事件の経験を活かし、設計時の図面には必ず公差をわかりやすく記載することを徹底するようになったそうです。
その成果もあり、お客様内の部署間・サプライヤーとの間での認識違いがなくなり、以前よりもスムーズにやり取りができるようになったようです。

またイケキンでは、今回のようにゆるみが生じやすい使用環境、ゆるみが生じると事故につながる可能性がある場合、JIS規格の公差で製作することを推奨しております。
ですが、あまり振動がかからないなどゆるみが生じにくい場合はJIS規格だとオーバースペックとなり、必要以上にコストが上がってしまう可能性もあります。
その場合は別の規格を適用させるなど、使用環境に応じた公差での製作をご提案させていただいています。
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