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技術コラム

樹脂ねじとは?メリット・デメリットから具体的な用途・事例まで解説

2024.10.28
樹脂ねじ

「プラスチックねじ」とも呼ばれる樹脂ねじ。
金属ねじとはさまざまな部分で異なっており、使用の際はメリット・デメリットを知っておくことが欠かせません。

そこで今回は、樹脂ねじの概要からメリット・デメリットまでを解説します。具体的な用途・事例も紹介するので、樹脂ねじに関する理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

樹脂ねじとは?金属ねじとの違い

樹脂ねじとは、プラスチックなどの樹脂材料で作られたねじのことです。プラスチック素材のため高温に弱いと思われがちですが、種類によっては熱に強かったり、耐久性に優れたものがあったりします。

とはいえ、金属ねじとは相違点も多々あります。樹脂ねじはJIS規格およびISO規格に準じていますが、金属ねじとは製法が異なるため、寸法等が該当しない箇所も見られるのです。

また、強度の違いから使用用途にも違いがあります。樹脂ねじは金属ねじに比べて強度が劣るため、使用環境や条件に応じて、適切な材料を選択する知識が必要になります。次の項目では、樹脂ねじを使うメリットを解説します。

樹脂ねじを使う3つのメリット

樹脂ねじにはたくさんの種類があり、一概に「樹脂ねじは〇〇の使用に適している」と断言することはできません。しかし、多くの樹脂ねじに当てはまる特徴もあるため、ここでは樹脂ねじのメリットを解説します。

代表的なメリットは以下の3つです。

• 金属ねじより軽い
• 絶縁性がある
• 耐食性がある

メリット①:金属ねじより軽い

樹脂ねじは金属ねじに比べて非常に軽量です。具体的には、比重が金属の1/5から1/6ほどであるため、同じサイズのねじを使用しても全体の重量を大幅に抑えられます。

軽量化が最優先課題の製品を製造する場合には、樹脂ねじの使用を検討してみる価値はあると思います。軽量化に成功すれば、以下のような2次的メリットもあるため、使用する大きなメリットといえます。

• 輸送コストが削減できる
• 取り扱いが容易になる

メリット②:絶縁性がある

樹脂ねじは電気抵抗が非常に高く、優れた絶縁性を持っています。

この特性により、電気製品や電子機器の組み立てにおいて、電気のショートや漏電のリスクを低減できます。

特に、電気が流れる可能性のある部分で樹脂ねじを使用すると、安全性を高められるます。

このような絶縁性は、電気機器の信頼性を向上させる重要な要素となります。

メリット③:耐食性がある

耐食性があるのも樹脂ねじのメリットのひとつです。

金属ねじの場合、湿気や化学物質にさらされることで錆びるリスクがあります。一方、樹脂ねじは耐食性に優れており、過酷な環境下でも長期間にわたって使用できます。

メンテナンスの頻度も減らせるため、長期的な目で見たときのコスト削減につながるのは重要なポイントです。

樹脂ねじを使う3つのデメリット

樹脂ねじにはメリットだけでなく、デメリットもあります。具体的なデメリットは以下の3つです。

• 強度と耐久性が低いものがある
• 温度などの環境要因の変化に弱い
• コストがかかる

一つずつ詳しく解説します。

デメリット①:強度と耐久性が低いものがある

樹脂ねじは金属ねじに比べて強度が劣るため、高負荷のかかる環境には適していません。負荷が強すぎると、樹脂ねじの破損につながります。

また、ねじを装着する際の負荷にも注意しなければなりません。樹脂の種類によっては、ねじ頭が飛ぶこともあり、強く締めると変形によりクリープ現象で徐々に緩む可能性があります。

一方、金属ねじは高い強度と耐久性を持ち、高負荷のかかる条件下でも安定した性能を発揮できます。

したがって、樹脂ねじは軽量化や絶縁性が求められる場合には有効ですが、強度が求められる用途には不向きといえます。

デメリット②:温度などの環境要因の変化に弱い

温度変化や環境条件に敏感な点も、樹脂ねじのデメリットです。高温環境では樹脂が軟化し、ねじの締結力が低下することがあります。また、樹脂の種類によっては高温だけでなく、紫外線や化学薬品に対する耐性が低いケースも見られるのです。

その点、金属ねじは温度や環境変化に対して安定した耐久力を備えています。樹脂ねじの耐熱温度が200℃以下なのに対し、多くのステンレスねじ(SUS304)では耐熱温度が約400℃まで引き上げられます。

そのため、高温な環境下では金属ねじを利用するほうが良いことが多いです。

デメリット③:コストがかかる

樹脂ねじは、製造過程において金型を要するため、コストが高くなる傾向にあります。特に特殊形状や小ロットの生産では、金型のコストが製品価格に大きく影響することがあります。その一方で、金属ねじは大量生産が容易なため、コスト効率が高いのです。

また、樹脂ねじは規格品であれば射出成形で製造されますが、規格外の製品や追加加工が必要な場合は切削で製作されるため、コストがさらに増える可能性もあります。

このように、樹脂ねじは特定の用途に適しているものの、製造コストや生産効率の面で制約がある点を考慮する必要があります。

樹脂ねじが使われている事例・用途3選

最後に、樹脂ねじのメリット・特性を活かした事例を紹介します。

事例①:半導体製造装置

半導体製造装置では、樹脂ねじが重要な役割を果たしています。ウェットステーションやFOUP(Front Opening Unified Pod、ウエハキャリア)などが代表例です。

半導体製造過程では強力な化学薬品が使用されることがあり、耐薬品性のある「PEEK(ピーク)-ポリエーテルエーテルケートン」という樹脂ねじが活躍しています。濃硫酸以外のほとんどの化学薬品に対して優れた耐性を持っているため、化半導体産業で重宝されています。

事例②:自動車・航空機産業

自動車や航空機の内装品(座席、照明、モニターなど)に樹脂ねじが使用されています。これらの産業では軽量性や耐熱性、難燃性が重視されるため、樹脂ねじのメリットを最大限に活かせます。

事例③:医療機器

樹脂ねじは医療機器の製造にも使用されています。例えば、MRIなどの磁気を使用する機器では金属ねじが使用できないため、絶縁性のある樹脂ねじが使用されています。

樹脂ねじの種類を理解して、最適なものを使用することが大切

今回は、樹脂ねじを使用する際のメリットとデメリットなどを解説しました。

どれだけ素晴らしい製品・サービスであっても、デメリットは存在します。大切なのは、デメリットをできるだけ取り除き、メリットを最大限活用することです。

樹脂ねじには種類がたくさんあり、それぞれに一長一短の特徴があります。

イケキンで取り扱う樹脂ねじには多種多様なラインナップがあります。
お困りごとやご相談がありましたらぜひイケキンまでご連絡ください。

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