メニュー閉じる
お問い合わせ
セミナー / 研修 資料ダウンロード
ホーム技術コラム表面処理の基礎

技術コラム

表面処理の基礎

2024.11.19
表面処理

表面処理とは、金属や樹脂などの素材の表面に特定の加工を施し、素材の持つ特性を向上させる技術です。
例えば、耐食性(さびにくさ)や耐摩耗性(すり減りにくさ)を向上させたり、見た目を美しくするために行われます。
スマートフォンのボディや自動車の部品、家庭用の金属製品まで、さまざまな製品に利用されています。
今回は、金属向けの代表的な表面処理の種類と目的をご紹介いたします。

めっき

めっきは、物体の表面に金属薄膜を形成し、腐食防止や装飾、耐摩耗性、電気伝導性を向上させる技術です。
めっきに使われる素材は、金・銀・銅・クロム・ニッケルなどが代表的で、これらを溶かした液に金属の材料を浸すことで、表面に皮膜を生成します。

・溶融めっき

高温で溶かした金属浴に浸して表面に皮膜を形成する方法です。この方法は、特に亜鉛を使った「溶融亜鉛めっき」でよく知られており、鉄製品の防錆対策に適しています。

・電気めっき

電気めっきは、電流を使って金属を基材の表面に析出させる方法です。装飾用のニッケルめっきや耐摩耗性を高めるクロムめっきが一般的で、防錆性も向上させます。
電気めっきの注意すべき点はこちらをご確認ください↓

▶「三価ユニクロ、ユニクロ、ニッケル…電気めっきをねじに処理するときに注意すべきこと」

・無電解めっき

電気を使わず、化学反応で金属を析出させる方法です。複雑な形状の部品や均一な膜厚が求められる用途に適しています。無電解ニッケルめっきは、耐食性と硬度に優れ、電子機器や自動車部品に多く利用されています。

化成処理

化成処理は、金属などの素材表面に化学反応を利用して皮膜を形成する処理です。この処理によって素材に防錆性や耐食性を持たせ、さらに塗装との密着性を高めるなど、元の素材にはなかった性質を与えることができます。

・リン酸塩処理

パーカー処理やパルホス処理とも呼ばれます。
「リン酸亜鉛」「リン酸マンガン」「リン酸鉄」「リン酸カルシウム」等の溶液に浸漬させることで、金属の表面にリン酸塩の皮膜を作る処理です。
主に鋼に使用され、金属表面の腐食を抑え、耐久性を向上させます。

・クロメート処理

クロメート処理は、亜鉛めっきされた製品に耐食性のあるクロメート皮膜を付与する処理です。これにより、亜鉛のみの場合に生じやすい「白錆」を防ぎ、製品の耐久性と寿命を延ばすことが目的です。

・ジンケート処理

対象物を処理液に浸漬することで、置換反応により亜鉛を金属表面に析出させる処理です。
主にアルミニウムにめっきをする前処理として使われることが多いです。
アルミニウムは酸素と反応して酸化被膜を形成しやすく、この酸化被膜がめっきの密着性を阻害するため、ジンケート処理によってこれを防ぎます。

・黒染め処理

アルカリ水溶液中に被処理物を浸漬し、化学反応を起こし、金属表面に黒錆と呼ばれる四酸化鉄皮膜を生成する処理です。
生成された黒錆の皮膜は、表面を保護し、それ以上の腐食進行を抑える効果があります。
主に鉄材に用いられ、皮膜の厚みは1〜2μmと薄いため、耐食性や強度はやや低いものの、寸法変化が少ないため精密な用途にも適しています

アルマイト処理

アルマイト処理は、アルミニウムの表面に陽極酸化被膜を形成することで、耐食性や耐摩耗性を向上させ、装飾効果をもたせる表面処理です。アルミニウムの自然酸化皮膜は非常に薄いため、この処理によって保護機能が強化されます。

・白アルマイト

無色のアルマイト加工を指します。一般的に「アルマイト処理」と呼ばれる場合は、この処理が指されます。酸化被膜は基本的に無色透明ですが、材質によっては黄っぽい色やグレーがかった色になることもあります。

・着色アルマイト

アルマイト処理後の酸化被膜に染料や顔料を吸着させ、さまざまな色合いを加える処理です。酸化被膜の厚さにより色の濃淡を調整でき、赤、青、緑、黒などの多彩な色が表現可能です。

・硬質アルマイト

白アルマイトよりも硬度が高く、耐摩耗性に優れた厚い皮膜を生成する処理です。一般的な白アルマイトの膜厚が約10μmであるのに対し、硬質アルマイトは50μm程度まで厚くなるため、航空機や自動車部品など、高い耐食性・耐摩耗性が必要な製品に使用されます。

キリンス

キリンス処理は銅や銅合金の酸化皮膜や黒ずみを取り除き、製品に美しい光沢を与える酸処理法です。この処理には硝酸、硫酸、塩酸などの混合酸が用いられ、酸化物を溶解することで表面が均一になり、光沢が生まれます。また、この処理を行うことで後工程のめっきが均一に施しやすくなり、めっきムラの防止にも寄与します。

塗装

塗装は美観の向上だけでなく、耐候性や防錆・防食性能の付与のために施され、建築、自動車、船舶、航空機など幅広い分野で用いられています。塗膜によって、素材が外部環境による劣化から保護されるため、耐久性が向上します。
めっきと異なり、塗膜がやや薄いため、耐久性には限界があるものの、めっきと比較して作業が簡便であるため、板金やプレス加工の後処理として広く活用されています。

・静電塗装

静電気を利用して塗料を均等に吹き付けるため、塗料効率が高く、ムラなく仕上げられます。

・電着塗装

金属素材に行う防錆性能の高い塗装方法で、耐食性も優れています。

・粉体塗装

溶剤を使わないため環境に優しく、厚い塗膜を作りやすいので、高い耐久性が求められる箇所に適しています。

・吹き付け塗装

手吹きや機械で行う一般的な方法で、製品の形状に応じて広範に使われます。

コーティング

コーティングは対象物の表面に特定の機能を持つ皮膜を形成する技術で、耐食性、耐摩耗性、装飾性などの向上を図ります。金属、プラスチック、セラミックなど多様な素材に応用され、用途や環境に応じて異なる機能を持たせられます。

・防錆コーティング

錆や腐食から保護を目的として、亜鉛めっきやクロムめっきが一般的です。
耐食性のある皮膜を形成し、鉄や鋼などの腐食防止に効果的です。

・耐摩耗コーティング

摩擦による劣化を防ぐため、フッ素やセラミック系の皮膜を用います。
摩耗しやすい機械部品に適用され、長寿命化に寄与します。

・装飾コーティング

美観向上を目的とした処理で、電気めっきや粉体塗装などが行われます。
色合いや光沢のある仕上げにより製品の価値を高めます。

まとめ

表面処理は、素材の特性を向上させるだけでなく、耐久性や機能性を付加する重要な技術です。
この記事では、めっきや化成処理、アルマイト処理、塗装、コーティングといった金属向けの代表的な表面処理について、その特徴と目的をご紹介しました。
これらの処理は、製品の用途や求められる性能に応じて適切に選ばなければ、十分に機能を発揮できない場合もあります。
「この環境ではどの表面処理が最適なのか?」といった具体的なご相談にも対応いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

曖昧な内容でも遠慮なくご相談ください!
じっくりお話をお伺いし、解決方法をご提案いたします

ご相談依頼はこちら

 

池田金属への相談メリット丸わかり!

無料!まずは資料をダウンロードする

 

関連コンテンツ

2023.04.03
軽量化のカギ『プラスチックねじ』の強みと弱み
  • #耐熱性
  • #耐蝕性
  • #絶縁性
  • #非磁性
  • #耐薬品性
  • #軽量化
  • #プラスチックねじ
  • #樹脂
表面処理
2024.02.25
防錆効果だけじゃない…!塗装系表面処理の種類と特長
  • #錆対策
  • #耐食性
  • #塗装系表面処理
表面処理
2023.12.15
ステンレスねじのピッチ(並目・細目)の見分けがつかない…そんな時は「酸化発色」で色付け!
  • #ステンレス
  • #デザイン性向上
  • #色分け
  • #コンタミネーション防止
  • #識別
  • #表面処理
ねじ締結のお悩みは
イケキンが解決します!
ねじ・締結部品に関するご相談・ご依頼は、
お気軽にお問い合わせください。