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技術コラム

樹脂ねじの特性とは?短所をカバーする製品も紹介!

2025.01.15
樹脂ねじ

「樹脂ねじを使いたいけど、強度が心配…」
「どの樹脂ねじを選んでいいかわからない…」

こんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、上記の問題は樹脂ねじの特性や、適切な選び方を理解することで解決できます。

このコラムでは、樹脂ねじの長所・短所から種類、選び方までわかりやすく解説します。

最後までご覧いただければ、樹脂ねじの特性を理解でき、用途に応じた最適なねじを選べるようになること間違いありません。

1.樹脂ねじの5つの特性とは?

樹脂ねじは金属ねじと異なる独特の性質を持っており、さまざまな場面で重要な役割を果たしています。

樹脂ねじの主な特性は以下の5つです。

・軽量性
・絶縁性
・耐食性
・断熱性
・非磁性

それぞれ順番に解説します。

1.1 軽量性

樹脂ねじは金属ねじと比較して、約1/5〜1/6の重量しかありません。
ノートPCやタブレットなど人の手で持ち運べる電子機器から、自動車・半導体装置など大きなものまで、さまざまな機械に使われています。

また、製品が軽くなるだけではなく、機械を動かす動力も抑えられるため、作業負担の軽減につながります。

1.2 絶縁性

電気抵抗が大きく、優れた絶縁性(電気を通しにくい性質のこと)を持っています。電流の流れを効果的に遮断し、漏電やショートのリスクを最小限に抑えることが可能です。

1.3 耐食性

金属ねじはサビや腐食により、定期的な交換や保守が必要になるケースがあります。
しかし、樹脂ねじは耐食性があるため、長期間にわたって安定した性能を維持することが可能です。

1.4 断熱性

熱伝導率が小さく、断熱性に優れています。
高温や低温の環境での使用に適しているため、熱を帯びる機器にも用いられます。

1.5 非磁性

樹脂ねじは磁気を帯びにくい特性があり、機器の正確な動作や性能に影響を与えることなく使用できます。
精密な電子機器や医療機器など、磁気の影響を受けやすい機器に適しています。

樹脂ねじの使用には特性理解が必須

樹脂ねじは魅力的な特性がある一方、以下のような短所もあります。

・強度や硬さなどの機械的性質で劣る
・熱に弱く燃えやすい
・経年劣化が大きい
・リサイクル性が悪い

樹脂ねじは適切に使用することで、製品の性能向上やコスト削減に大きく貢献します。しかし、強度や耐熱性などを考慮に入れ、特性理解が求められる材質でもあるのです。

「強度」をカバーする製品とは?

一般的に樹脂ねじの強度は金属ねじに劣ります。しかし、樹脂の種類によってはこの欠点をカバーしているものがあるのです。

製品の例を2つ紹介します。

①RENY(レニー)-ガラス繊維強化ポリアミドMXD6

樹脂ねじの中でもっとも最も高い強度・弾性率を持っているのがRENYです。
具体的には、引張強さ(Mpa)が目安285です。
例えば、純アルミニウムの引張強さは目安70〜130程度、
純鉄の引張強さは目安196であるため、数値上は上であることがわかります。
RENYはポリアミドMXD6(※1)をベースとし、ガラス繊維を50%配合することで強化されたエンジニアリングプラスチック(※2)です。
強度以外に、耐油性や耐熱性にも優れることから、金属の代替材料として一般機械、精密機械部品などに用いられています。

※1…メタキシリレンジアミン(MXDA)とアジピン酸から得られる結晶性の熱可塑性ポリマーのこと。機械的強度や弾性率が高く、吸水性が低いなどの特長を有している
※2…強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化しているプラスチックの一群を指す分類上の名称

 

②PPS-ポリフェニレンサルファイド

次に紹介するのがPPSです。結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチック(※3)で、RENYの次に引張強さが高い樹脂です。
その引張強さは目安185。
純アルミニウム以上で純鉄と同程度と考えて良い数値となっています。
樹脂ねじの中では高い強度を誇り、その上で耐薬品性や耐熱性にも優れています。このため化学機械部品などにも用いられているのです。
※3…耐熱性・機械的強度が非常に高い高機能樹脂のこと

実際、RENYやPPSの強度は、炭素鋼やステンレスなどと比較すると低くなります。とはいえ樹脂ねじの中では高くなっているため、あらゆる観点から比較して導入を検討するとよいでしょう。

「耐熱性」をカバーする製品とは?

樹脂ねじの短所として、耐熱性とコストも挙げられます。金属ねじと比べると樹脂ねじの耐熱性は高くありません。

ここでは、耐熱性に優れた樹脂ねじを紹介します。

 ①CERAMIC-セラミック(アルミナ96%)
一般的なセラミックスとして広く使用されているものです。
連続使用温度はなんと1,500℃。また、耐摩耗性、高硬度、寸法安定性もあるため、大型機器部品や精密機械部品に使用されています。

その上、耐食性にも優れており、高温中でもアウトガスがないため、半導体装置内にも多く利用されている製品です。

 ②PTFE-四フッ化エチレン樹脂
PFAと同じく連続使用温度が260℃です。
そして、ほとんどの化学薬品・溶剤に対して不活性です。

電気的特性・非粘着性・潤滑性も優れており、化学・電気・機械など幅広い分野での使用が期待できます。

PTFEはPFAと似た特性を持ちますが、一般的にPTFEのほうがPFAよりも安価です。
PTFEは古くから生産されており、生産技術が確立されていることが理由となります。

「コスト」をカバーする製品とは?

樹脂ねじは基本的に金属ねじよりも高価で、コストがネックになることも珍しくありません。今回は、比較的低コストの樹脂ねじを紹介します。

 ①PC-ポリカーボネート
非結晶性のエンジニアリングプラスチックです。
プラスチック素材の中で最高の耐衝撃性をもち、機械的特性や電気的特性をバランスよく備えています。

その上、プラスチックがもつ成形収縮率が小さく、加工性も高いため寸法安定性にも優れる特徴があるのです。

ただし、アルカリなど耐薬品性は劣るという特徴もあります。
特に強アルカリ性に関しては最も弱いプラスチックの一つであるため、注意が必要です。

 ②POM-ポリアセタール
結晶性のエンジニアリングプラスチックです。
機械的性質のバランスがとれており、優れた耐疲労性、耐クリープ性、摩耗摩擦特性を備えています。

このように樹脂ねじは、耐熱性とコストの面でも金属ねじに引けを取らない選択肢となっています。

もちろん、一概に樹脂ねじが良いわけではありません。

しかし、正しい知識を身につけることで、用途に適したねじを適切に選択できます。

樹脂ねじの採用は、単なる部品の置き換えではなく、製品全体の付加価値を高める戦略的な選択なのです。

樹脂ねじのもう一つの特性である「耐薬品性」

冒頭で樹脂ねじの特性を5つ紹介しましたが、もう一つの特性に「耐薬品性」があります。
樹脂ねじは金属ねじよりも耐薬品性が高いのです。

そこで、トップクラスの耐薬品性を誇る樹脂を紹介します。

PTFE-四フッ化エチレン樹脂
フッ素樹脂の代表的な樹脂で、最高レベルの耐薬品性を持ちます。
ほとんどの化学薬品・溶剤に対して不活性です。
その上、優れた電気的特性、非粘着性、潤滑性を持ち合わせた樹脂のため、化学や宇宙開発などの分野で利用されています。

耐薬品性に優れた樹脂ねじは、多くの産業分野で画期的な解決策となるでしょう。高性能樹脂製のねじは、金属ねじでは難しかった環境での使用を可能にし、製品の耐久性と信頼性を高めます。

この特性を活かすことで、製造効率の向上、コスト削減、新製品開発の可能性が広がります。

まとめ

今回は、樹脂ねじの特性と種類について解説しました。樹脂ねじの導入を検討するときは、望んだ効果を得るためにも特性理解が必須です。今回紹介した内容を参考にし、最適な商品を導入しましょう。

なお、今回の記事では紹介しきれなかった製品が多数ございます。「もっと多くの製品について知りたい」という場合は、「資料をダウンロードする」のボタンよりご確認ください。

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