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技術コラム

ねじの基礎≪8≫ ボルトの種類

2025.02.25
ねじの基礎

部品を締結するのに欠かせない存在であるボルトですが、「何を基準に選んだらいいか分からない」と悩む人も多いのではないでしょうか。
ボルトは締結する部品の使用環境や用途に応じて寸法や強度、材質や種類を考慮して適切に選定する必要があります。

今回はボルトの「種類」に着目し、その特徴や用途に応じた選定方法について解説していきましょう。

1. 一般的なボルト

ボルトの種類について解説する前に、まず「ねじ」と「ボルト」について説明しましょう。
「ねじ」は機械を締結するのに使う部品全般を指す言葉であり、「おねじ」と「めねじ」に大別されます。おねじのうち、めねじと一緒に締結する部品の中でM8までの比較的小さいものを「小ねじ」、一般的にM64まで規格があるものを「ボルト」と呼びます。

六角ボルト

 

ボルトの種類は様々ですが、単に「ボルト」とだけ呼んで使うものはこの六角ボルトのことが多いです。六角ボルトは頭部が正六角形になっており、スパナやモンキーレンチ、ボックスレンチやメガネレンチなどの工具で挟み込み、反対側にナットを取り付けて締結します。
締結した後にトルクレンチを使えば、締結箇所ごとに適切なトルクで取り付けることができ、適切なトルクで締め付けることで破損や緩みを防止することができます。
鉄、ステンレス、アルミなど材質も様々で、強度や耐食性が求められる場合はステンレス鋼製のものが使われることが多いです。六角ボルトは寸法や強度について幅広くJISで規格化されており、機械や建築物、自動車や鉄道などその用途は多様です。
緩みや締結部の陥没や損傷を防止するため、部品との間に座金(ワッシャー)を挟んで締結するのが一般的です。

座金組込み六角ボルト

その名の通り、座金(ワッシャー)があらかじめ組み込まれた六角ボルトのことで、締結するのに使用する工具は六角ボルトと同じです。
座金の内径よりねじ山の外形の方が大きいため脱落せず、組み立て作業時の手間削減や座金の挟み忘れ・脱落を防止できるといったメリットがあります。
用途は多様ですが、六角ボルトに比べてねじ部分が長くなるため薄板の固定には向かないといったデメリットがあります。

2. 限られたスペースで締結できるボルト

精密機器や家電製品の内部などといった狭く限られたスペースでは、スパナやモンキーレンチ、メガネレンチなどを使ってボルトを締結するのが難しくなることがあります。
限られたスペースではコンパクトな工具で締結する必要があり、このため六角棒レンチを使って締結できるボルトが使われています。

六角穴付きボルト

ボルトの頭部に六角形の穴があるボルトのことで、ここに六角棒レンチを差し込んで回すことで締結します。適切なサイズの六角棒レンチを使えば、限られた作業スペースでも高い締め付け力で締結することができるため、アクセスの難しい自動車のエンジン部品や精密部品や家電内部といった狭い作業環境で使われています。
スパナやメガネレンチに比べてコンパクトな工具で手軽に締結できるため、日常生活で使われることも多く、家具や自転車などにも採用されています。
六角ボルトと比べてJISでの寸法規格が少なくなりますが、同じ寸法のものもあるので、強度や締結力に問題なければ「締結箇所に工具が入らない」といった際に六角ボルトから六角穴付きボルトへ変更して締結することができます。
一方で、六角棒レンチ締結を繰り返すと六角穴が摩耗して使用不能になることがあるので注意が必要です。
六角穴付きボルトは皿ボルト、ボタンボルトなど頭部の形状の違いでさらに種類が分かれているので、ボルト締結した際の見た目をどうしたいかによって選定してください。

六角穴付き低頭ボルト

一般的なボルトよりも頭部が低く、また外形も小さいボルトのことです。頭部には六角形の穴が空いているので六角棒レンチで締結でき、狭い場所での作業に適しています。
頭部がコンパクトなため接触面積が小さくなり、締結力はやや劣りますが、製品を小型化・省スペース化してもボルト同士が干渉しないといった利点があります。また、締結後に頭部の突出部が少なく見た目がスッキリするので、デザインが重視される家具などにも使われることが多いです。
「ローヘッドボルト」や「低頭キャップ」と呼ばれることもあります。

3. 工具がなくても取り付けできるボルト

ここでは工具を使わず、手で回して締結できるボルトを紹介します。

蝶ボルト

ボルトの頭部に蝶のような形の取っ手が付いており、指で摘んで締め付けおよび取り外しができるボルトです。ウイングボルトと呼ばれることもあり、取手の大きさや製造方法などに応じてJISで規格化されています。
金具の角度調整やパイプの長さ調整のほか、家具やアウトドアギア、照明や楽器など、強い締結力を必要とせず組み立て・分解の機会が多い製品に幅広く使われています。

ノブボルト

工具を使わずに締結するボルトは蝶ボルト以外にも、頭部の形状や素材が様々なものが販売されています。ここで紹介する蝶ボルトやノブボルト以外にも種類があるので、製品のデザインや取り付けやすさ、軽量化などのニーズに合わせて選定してください。

4. 特殊用途向けボルト

ここでは、特殊用途向けに作られたボルトについて解説します。

溶接ボルト

一般に、ボルトを使って部品を締結する場合はナット、もしくはボルトのどちらかを保持した状態で、もう片方を回転させることで締め付けます。
溶接ボルトはボルトの一端に溶接部が設けられており、締結する部品に溶接で取り付けてから、もう片方の部品を取り付けます。溶接ボルトはボルトを保持せずともナットを回すだけで締結することができるため、作業時間の効率化を可能とします。
ボルトが溶接でしっかり固定されているため、耐久性に優れており建設機械や鉄道車両、自動車のボディなど、振動や衝撃が加わりやすい部品の締結に向いています。また、締結部に圧力がかかっても緩まず強度を保てるので、橋梁や鉄骨構造の建物にも使われています。
一度組み立てると取り外すのが難しいため、長期間取り外さない用途での使用に限られます。

アイボルト

アイボルトは頭部が輪になった特徴的な形状のボルトで、頭部を手で回して締結します。この頭部は「アイ」と呼ばれ、ここにロープやチェーン、ケーブルを通し、吊り上げや引張り作業を行います。
荷物を吊り下げ・引張り作業する際、アイボルトに余計な曲げモーメントやせん断力が加わらないように締結部分は確実に密着させる必要があります。
安全な作業を実現するため、設計時は適切な寸法や強度、材質のものを選定してください。
複数のアイボルトを使っても荷物を吊り下げ・引っ張る場合でも、それぞれのアイボルトに均等に荷重が掛かるわけではないため単純に「アイボルト2個使うから耐荷重が2倍になる」と計算しないように注意してください。

5. まとめ

今回は一般に広く使われているボルトの種類について解説しました。
ここで紹介したボルト以外にも、頭部がなく部品に完全に埋め込む植込みボルトや、パイプや角材を床や壁に固定するUボルトなど、様々な種類のボルトがあります。まずは締結する製品の用途や使用環境、作業環境や作業性などを考慮して、必要な種類のボルトを選定しましょう。
イケキンは幅広い種類のボルトを取り扱っているほか、「ねじ」のエキスパートが適切な締結方法・部品について実証実験を交えた提案もできるので、設計に行き詰まった際は気軽に相談してください。

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