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技術コラム

M30以上の太径ボルトが折損する原因 ~その問題、スーパーボルトで解決できます~

2023.02.01
軸力

タイロッド、圧力容器のカバーボルトなどの固定には、径の大きなボルト(以下、太径ボルトと表記)を使用されていることが多いと思います。

その太径ボルト(※1)が、折損してしまった経験はないでしょうか?
折損してしまったらその対応に手がかかり、場合によっては機械を止めてしまうため、ロスコストが発生してしまいます。

今回のコラムでは、太径ボルトが折損する原因と、タイトルにもあるスーパーボルトという製品を使用した対策方法を解説していきます。

※1…このコラムでは人力での締付けが難しくなるM30以上のボルト径から太径と定義しています。

 

ボルトが折損する原因

そもそもボルトは正しく選定、適切な締め付けがされていれば基本的には折損しないよう設計されているはずです。

では、折損の原因となる要素は何なのでしょうか。
大きく分けて3つあります。

1.軸力不足
一番多いケースは締め付けができていないことによる軸力不足です。
適切な締め付けに必要なトルクはボルト径の3乗に比例して増大していきます。
M30あたりから要求されるトルクは人力での締め付けられる範囲を超えてくるため、必要なトルクをかけきれず十分な軸力が出せないケースが多いです。
必要な軸力が出せていないと外力に負けて被締結物が動いてしまい、ボルトに衝撃を与え折損に繋がるというケースが多いです。

2.ねじり応力
見落としがちな原因としてトルク法による締め付けで生じるねじり応力があります。
ボルトは引っ張られることにより軸力を出しますが、軸力を出すためにトルクをかけるとボルトにはねじりも同時にかかります。
ボルト選定時は軸力、すなわち引っ張り強さを基準に選定されますが、ねじり応力についてはあまり考慮されていません。
トルク法で締め付けられたボルトには、引っ張りと同時にねじりも加わるので想定していた以上の負荷がかかり、折損に繋がることがあります。

3.設計ミス
そもそも使用箇所でボルトにかかる負荷を計算できておらず、ボルトの強度区分が不適切なものを選んでしまっていると、ボルトが負荷に耐え切れず折損してしまいます。

今回は折損の最も大きな原因である軸力不足とねじり応力にフォーカスし、折損の原因と対策方法を解説していきます。

従来の締め付け方法とそのデメリット

太径ボルトを締め付けるために必要な軸力を出さなければならない、でも人力では難しいとなるとどうしたら良いでしょうか。
一般的には、ハンマリング、ヒーティング、油圧トルクレンチなどの方法で締め付け作業をされている方が多いかと思います。

①ハンマリング
ハンマリングは大きなハンマーでレンチを叩いて締めるのですが、ボルトの回転方向に向けて正しい位置を叩くことは難しいので、ほとんどトルクにならずに軸力不足となるケースも多く、仮にうまく叩けていたとしても力いっぱい叩いているだけなので軸力の調節ができません。
また、ハンマリングは作業時に怪我をしてしまう危険性も伴います。

②ヒーティング
ヒーティングは加熱によるボルトの伸びで軸力による引っ張りと同じ状態を先に作り締結する手法ですが、熱による伸びの調節が難しいため適切な軸力を出すことが難しいのです。
さらに軸力測定はボルトが冷えてからでないとできないため待機時間が生じます。
測定して軸力が不足していた場合はイチからやり直しになる為、作業効率があまり良くありません。

③油圧トルクレンチ
油圧トルクレンチは人力では手に負えない高トルクを油圧でかけてボルトを締め付けます。前述の2つの手法よりも軸力は出るのですが、摩擦状態によってはボルトに対する過度なねじり応力がかかります。ねじり応力が軸力による引っ張りに上乗せされるので、ボルト自体にストレスがかかり折損に繋がります。ねじり応力は摩擦によるものなので測ることができず、どのくらいまで耐えられるのかが不明確です。

これらの方法は昔からある太径ボルトの締め付け方法なのですが、いずれも軸力不足や過剰なねじり応力の発生に繋がる上に、危険作業や時間効率の問題が伴います。

実際の折損事例とその影響

実際に、油圧トルクレンチを使用した締め付けを行った際に、必要トルクをかけて目標軸力に到達していたと思われていましたが、実は軸力が不足していた上にねじり応力が加わっており、ボルトが折損するということがありました。
太径ボルトが折損すると、除去・交換に多大な費用と時間がかかります。
また、補修作業中は機械を稼働させられないので機会損失にもなります。

解決の条件

ではどうすれば安全に、折損させることなく適切に締め付けが可能なのでしょうか。

ここまで解説してきた折損の原因は、締め付け作業時に以下の3つの条件を達成することで防ぐことができます。

①軸力を不足させないこと (十分な固定力)
②締結体にとって過剰な軸力をかけないこと (締結体強度に合わせた軸力制御)
③ねじり応力を発生させないこと (不要なストレスを軸にかけない)

ここまでの解説でもご理解いただけたかと思いますが、従来の締め付け方法ではそれが難しいのが現実です。
しかし、それを可能にするのが冒頭に少し説明した「スーパーボルト」です。

スーパーボルトの仕組みを理解していただければその理由が分かりますので、詳しく説明した資料をご用意しました。
ぜひダウンロードいただき、皆様の作業現場から太径ボルトの折損をなくせるよう、ご活用いただけますと幸いです。

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