皆様は図面の「役割」について深く考えたことはありますか?
機械製造業において図面は欠かせない存在です。
図面は、誰が、何のために、いつ使うのか、しっかり理解しておかないと、間違いを見落としてしまったり製作時にトラブルが生じる可能性があります。
その間違いの見落としが結果的に単価、納期、手間などのコストアップに繋がることもあるため、図面を正確に読み取るということが非常に重要です。
今回のコラムでは、図面の役割や図面を描いたり、見たりする際に抑えておくべきポイントをまとめてお伝えします。
図面とは
図面は一言で表すと「作りたいモノのイメージ・プランを書き出したもの」です。
製図時はまず作りたいモノのイメージを決め、その後各箇所の部品の形状・寸法・材質・機能などを考えます。
そしてこれらを紙面に書き出されたものを、「図面」として見積時や製作時、製品検査時に活用します。
図面の役割「情報保存」「他者への正確な伝達」
図面は製作に関する情報をデータとして保存し、製品の設計を考えた人(メーカーの設計者)、部品の手配をする人(メーカーの調達・購買)、部品を作る人(工場)、出来上がった部品を検査する人(メーカー・工場の検査担当者)、の四者間で情報を正確に伝達するためのツールです。
作成された図面の用途は大きく分けて以下の3つです。
①見積時
工場への製作可否・単価・納期の確認するため。
②製作時
必要な部品を間違いなく製作してもらうため。
③検査時
製作された部品の形状や寸法等に間違いがなく、製品に組み入れて問題ないかどうかを確認するため。
情報の抜け漏れによる伝達ミスがあった際に起こり得るトラブル
上記①~③の際に、図面に記載する情報に抜け漏れがあった場合どうなるでしょうか。
製作する工場や検査担当者に設計者の意図が伝わらず、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
①見積時
材質や寸法が分からないとそもそも見積ができません。
また、公差によっては製造方法が変わるので、記載が漏れていると納期や単価に影響します。
②製作時
仕様変更があった際、その旨の記載が分かりづらかったり最新の図面を工場に渡していないと、変更前の仕様で製作されてしまう可能性があります。
③検査時
公差等の記載がないと、出来上がった図面製作品が合格品か不合格品かの判断がつきません。
万が一情報の抜け漏れに気が付かず、検査の目をかいくぐった図面製作品が製品に使用された場合、製品の故障や製造ラインの停止、場合によっては作業者が負傷するような事故に至る場合もあります。
そのようなことが起きた場合、修繕費等の大きな損失に繋がりかねません。
最悪の事態を招かないためにも、図面に必要な情報を正確に記載されているかを確認し、確実に伝達することがとても重要です。
図面の役割を機能させるために押さえておくべき2つのポイント
では、いざ図面を見る際に重要なポイントは…?
イケキンが重要だと認識しているポイントは以下の2つです。
①表題欄をしっかり確認する。
②図面に記載されている記号の種類を理解する。
この2点が図面の役割「情報保存」「他者への正確な伝達」を果たす上で欠かせないポイントです。
これらが何より重要にもかかわらず、意外と見落としがあったりします。
①の表題欄には加工精度や材質、熱処理硬度など重要な情報がたくさん記載されています。
これらの情報がなければ、図面は成り立ちません。
②に関しては理解していないと、図面は読み解くことができません。
ですが図面に使われる記号は様々あり、細かく見ていられない・記憶していられないという方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、この2つのポイントについて詳細を資料にまとめております。
図面製作品を取り扱う際にご活用いただけますと幸いです。