皆様はねじの錆でお困りではありませんか?
錆対策はどんなことをされていますか?
多くの方が表面処理(めっき)による錆対策をされているのではないかと思います。
今回のコラムでは、錆対策に特に高い効果をもたらす「塗装系表面処理」の種類と特長を解説します。
また、塗装系表面処理の中には防錆効果以外の力を持つ処理もございます。
そちらも合わせてご紹介します。
目次
クロムフリーの高耐食性表面処理「DISGO(ディスゴ)」
電気亜鉛めっき工程がなく、水素脆性による遅れ破壊が生じない表面処理です。
溶融亜鉛めっきに代わるクロムフリーの環境にやさしい高耐食性表面処理です。
亜鉛アルミを含有するベースコートと、アルミと有機系樹脂を主成分とするトップコートの2層で形成されています。
高い防錆効果を持ち、構造物、ソーラー架台などに使われるねじに施されています。
溶融亜鉛めっきをベースコートにしている「DISGO LUNA」、高硬度金属亜鉛層をベースコートにしている「DISGO RINTAS」「DISGO LANEW」もございます。
流通性が高い高耐食性表面処理「ジオメット」
水系のクロムフリーな表面処理です。
鱗片状の金属フレークを主成分とした塗料を2コートコーティングしており、耐食性に優れ、国内外の自動車規格、防錆規格に制定されています。
自動車部品を始め、土木、建築業界でも多くの使用実績があります。
膜厚が比較的薄い(8~10㎛)ことも特長です。
全国に処理工場があるため比較的手配しやすい表面処理です。
金属接触に負けない高耐食性表面処理「カエラーLB」
亜鉛ニッケル合金めっきと密着性に優れた強靭な合金コーティングを組み合わせ、更に潤滑性に優れたトップコートを上塗りしているハイブリットな表面処理です。
特に硬度が高く、剥がれに強いことが特長です。
DISGOよりも表面が硬いため、タッピングビスやドリルビス等の金属接触がある製品でも剥がれにくく、高い防錆効果を発揮します。
DISGOでは剥がれてしまう可能性がある箇所には、カエラーLBがおすすめです。
剝がれにくく遅れ破壊が発生しない高耐食性表面処理「GZコート」
メカニカルめっき「Zコート」をベースコートとし、トップコートにジオメット処理を組み合わせることによる重防食仕様の表面処理です。
反応性の高いZnとMgの両者を組み合わせることにより、ポーラスな被膜(表面処理された金属皮膜上に小さな孔が出来ている状態)に安定した腐食生成物が生成され、トップコートにジオメット処理を施すことで耐食性が大幅に向上します。
カエラーLBと同様にはがれにくく、DISGOと同様に電気亜鉛めっき工程がないので水素脆性による遅れ破壊が生じません。
防錆効果があってカラー化もできる「ラスパート」
電気亜鉛めっきの上に塗装を施したハイブリッド表面処理です。
めっき+塗装を最初に開発した製品で、建築部品に多くの採用事例があります。
また、カラー化が可能です。
環境対応品として「ラスパート ノンクロム」、ステンレス製品対応品「ラスパート ノンクロム ステンレス」がございます。
製品の意匠性向上「頭部塗装」
頭部のみ任意の色塗装を施します。
締結物や景観に合わせた着色が可能で、ねじ本体の付加価値が高くなります。
ご指定の色で塗装可能で、製品本体と色を合わせる際などに使用されます。
ねじの焼き付きを防ぐ潤滑剤「ゾルベスト」
ゾルベストは持続性が非常に高い固体潤滑剤です。
摩擦・摩耗を抑えるので摺動部品の長寿命化、ねじでは焼き付きを防ぎ安定した締付けが可能となります。
その効果から自動車、機械設備での採用が多くされています。
タイプは大きく分けて『ドライコート』・『グリース』・『ペースト』・『オイル』の4種類があります。
摺動性が良い特殊被膜「二硫化モリブデンショット加工」
二硫化モリブデンショットは、固体潤滑剤である二硫化モリブデン粉末を圧縮気体で金属部品表面に高速で噴射衝突させる表面改質技術です。
ショット加工により、各種ボルトやナットのねじ部に二硫化モリブデンを浸透させて焼き付きを防止します。
また、バインダーを一切必要とせずに処理対象物の表面を含む最表層に固体潤滑剤層を形成することができるため、摩擦低減効果が大きいことを特長としています。
剥がれが起こらないため、半永久的に潤滑効果を得られます。
耐食性がある潤滑剤「フッ化樹脂塗装」
フッ素樹脂を主成分とした潤滑効果のある表面処理です。
フッ素樹脂とはフッ素原子と炭素原子を結合させた合成樹脂の総称で、摩擦計数0.1以下という非常に優れた低摩擦特性をもち、非粘着性、耐熱性、耐寒性、耐食性、電気絶縁性などの特性を合わせもった非常に多機能な樹脂塗装です。
耐食性があることから、沿岸部に使用するボルトやトンネル・船部品に多くの採用実績がございます。
まとめ
さまざまな塗装系表面処理について解説しましたが、どれも高性能で何を選べばよいのか分からない…という方も多いのではないでしょうか。
イケキンとしても、一概にこれが良い!と断言することは難しく、ねじの使用環境をしっかりとお伺いした上で最適なものをご提案させていただいています。
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