普段ねじを使用されている方であれば、「三価クロメート」という表面処理(めっき)をご存知の方は多いかと思います。
現在、ねじの耐食性を向上させる最もポピュラーなめっきが「三価クロメート」です。
ですが「三価ユニクロ」はもしかすると知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「三価ユニクロ」の見た目は「三価クロメート」とそっくりです。
何が違い、どう使い分けられているのか、解説していきます。
三価クロメート・三価ユニクロ 見た目はほぼ同じ?
三価クロメートも三価ユニクロも、白のような、シルバーのような色をしていて、単体で見るとどちらのめっきが付いているのか判断することは困難です。
2つを比べて見てみると、三価ユニクロのほうが少し青っぽいです。
また、三価クロメートに関しては色味に地域差があり、よく見ると西日本の処理工場では青っぽく、中日本・東日本の処理工場ではピンクっぽい色味になります。
そのため、西日本の工場で処理した三価クロメートのねじを東日本のユーザー様に納品すると、「色味がおかしい」「劣化しているのでは?」とNGになることがあります。
三価クロメートのほうが耐食性が高い
見た目はよく似ていますが、実は耐食性に大きな差があります。
以下の表は膜厚5μmで塩水噴霧試験を実施した際の、錆発生までの時間をまとめたものです。
三価クロメートのほうが耐食性が高く、白錆発生で12倍、赤錆発生で5倍も差があります。
2つのめっきを同じものだと勘違いして、三価クロメートのレベルの耐食性を期待して使用すると、トラブルになりかねません。
三価クロメート | 三価ユニクロ | |
白錆 | 72時間 | 6時間 |
赤錆 | 120時間 | 24時間 |
三価ユニクロのほうが安価
めっきの処理代は三価ユニクロのほうが安価です。
三価ユニクロは耐食性の面では三価クロメートよりも劣りますが、鉄の素地に比べると高まります。
三価ユニクロの耐食性でも十分な使用環境であれば、コストダウンに繋がるかもしれません。
「三価白」「三価ホワイト」の表記には注意!
ねじ商社の注文サイトやECサイトを見ると、「三価白」「三価ホワイト」と書かれていることがあります。
これらは大抵の場合「三価クロメート」であることが多いです。
しかし「三価白」「三価ホワイト」=三価めっきの白色、という意味の造語なので、確率は低いですが三価ユニクロである可能性もあります。
その場合、三価クロメートほどの耐食性はないため、期待した防錆効果が得られません。
ドリルビスは三価ユニクロであることが多い
では、どうやって見分ければよいのでしょうか。
購入後に現物を目視確認することで何とか見分けることは不可能ではないですが、できれば購入前に知りたいですよね。
日本の市場で出回っているボルト類、ナット類、座金類に処理されているめっきは基本的には三価クロメートです。
注意が必要なのはドリルねじです。
ドリルねじは三価ユニクロを使用しているメーカーが多いです。
理由は諸説ありますが、メーカーが六価めっきから三価めっきに変更する際に、六価クロメート(ユニクロ)の色味と近い三価ユニクロを選んだという説があります。
まとめ
ここまでのお話を簡単にまとめます。
・三価クロメートのほうが耐食性が高い
・三価ユニクロのほうが安価
・市場に出回っているねじに処理されているのはほとんどが三価クロメート
・ドリルねじはメーカーによって三価ユニクロの場合がある
以上のことから、「三価白」「三価ホワイト」の商品を購入した場合、基本的には三価クロメートであると考えて良いのですが、一部そうでない(三価ユニクロである)場合がある、と覚えておくと良いかと思います。
もしお使いのドリルねじや、これからドリルねじの購入を検討されていて、耐食性に関して気になることがある場合はサプライヤーに問い合わせてみてください。
イケキンで在庫しているドリルねじは三価ユニクロですが、三価クロメートのものを取り寄せすることも可能です。
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